皮膚科でとても多く見られる症状です。かゆみや赤み、ぶつぶつ、かさつきなどが生じます。水ぶくれや皮むけがおこることもあり、慢性化すると皮膚が分厚くなったり、色素沈着、色素脱失なども生じます。
原因としては、刺激によるものが多いですが、自己免疫やアレルギー、薬疹、ウイルス感染などもあります。原因がはっきりしないこともあります。
湿疹はかゆみを伴うことが多く、つい掻いてしまい、患部をかき壊して化膿や悪化を招き、さらにかゆみがひどくなることも少なくありません。とびひを合併してしまうこともあります。
治療はステロイド外用剤や保湿剤を使用します。かゆみがひどい場合は、内服薬も併用してかゆみを軽減します。

皮膚に直接触れたものの刺激（刺激性接触皮膚炎）、またはその物質に対するアレルギー反応（アレルギー性接触皮膚炎）のため起こる皮膚炎で、『かぶれ』ともいいます。原因となるものは無数にあり、生活環境内のほとんど全てのものが接触源になりうります。日本で多いのは、クロム・ニッケル・コバルトなどの重金属類（皮革製品、セメントなどに含まれる）、ウルシなどの植物、パラフェニレンジアミン（染毛剤）、防腐剤、外用薬などです。治療は原因物質を除去し、外用剤、内服薬を使います。必要に応じてアレルギー検査も行います。

アトピー素因（アレルギー体質）の方に発生しやすく、左右対称性に慢性的（乳児では2ヶ月以上、そのほかは6ヶ月以上）に赤みやかゆみを伴う湿疹を繰り返す疾患です。
①掻痒、②特徴的皮疹と分布、③慢性・反復性経過、の3項目を満たし、かぶれやあせもなどの除外すべき疾患を十分鑑別して診断します。
治療は、ステロイド外用剤、コレクチム軟膏やモイゼルト軟膏、プロトピック軟膏といったステロイド以外の外用剤、保湿剤を中心として行います。

皮膚の一部が突然赤くみみず腫れのように盛り上がり、1日以内（たいていは数時間以内）にかゆみと皮疹が消えるという特徴があります。発症して6週間以内を「急性蕁麻疹」、それ以上経過した場合を「慢性蕁麻疹」と呼びます。原因は不明な場合が7〜8割と言われますが、原因や悪化因子を探して、それらを避けることが重要です。薬物治療は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬が中心となります。

にきびは特に思春期ごろから、顔面・前胸部・上背部にできることが多いです。皮脂が過剰に分泌され、毛穴にたまり、面皰（めんぽう）という状態になります。この毛穴にたまった皮脂を栄養源にして、にきびの元となる菌が増殖して症状を悪化させます。そのほかに食生活、機械的刺激、睡眠不足、ストレスや生活環境などの様々な要因も発症に関わっています。
治療は毛穴のつまりを改善させる外用剤を使うことが多いです。炎症がある場合は、アクネ菌や炎症に有効な外用剤、症状がひどい場合は抗菌薬の内服をします。

口周囲に小さな水ぶくれや傷ができる1型と、外陰部や臀部など下半身に発症する2型の2種類のウイルスがあります。初めて感染したときは、人によってひどい症状が出現することがあり、口内に小さな深い傷ができ痛みや高熱が出ることがあります。寝不足、疲れ、かぜなどで免疫力が低下すると再発することがあります。
治療は抗ウイルス薬を使用します。水ぶくれが出る前にチクチクするといった予兆があることが多く、その時点で薬物療法を始めると治りが早まります（PIT）。

水痘（みずぼうそう）と同じウイルスによって発症する病気です。疲れや加齢などの免疫低下により、体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが帯状に出現します。最初は神経痛として始まり、数日して皮疹が出現することが多いです。
顔に生じた場合、目の障害や顔面神経麻痺、内耳障害によるめまい・耳鳴りなどが起こることがまれにあり、その際は眼科や耳鼻科とも連携して治療します。多くは、皮膚症状が治ると痛みも消失しますが、神経の損傷によってその後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」という合併症が残ることがあります。
帯状疱疹は早く皮膚科を受診し、早期に治療することが非常に大切です。早期治療により、帯状疱疹後神経痛の程度を和らげることが期待できます。帯状疱疹のワクチンもあります。

境界が明瞭な紅斑（赤い斑点）上に、厚い銀白色の鱗屑（皮むけ）が全身に出現する病気です。乾癬（かんせん）の多くが、この症状であり、尋常性乾癬と呼ばれています。
大きさや数、形は様々で、発疹が癒合し大きな病変となることもあり、頭部、ひじ、ひざ、でん部、下腿などの特に刺激の受けやすい部位に生じます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。かゆみは半数程度の方にみられますが、内臓に障害を及ぼすことはありません。
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返します。病気の程度、状況などに応じて治療法を選択します。

白癬菌（はくせんきん）というカビの一種が足の皮膚や爪に入り込んで発症する病気です。全身のどこにでも見られますが特に足に多く、足白癬は趾間（しかん：指の間）型、小水疱（しょうすいほう：水ぶくれ）型、角質増殖型のタイプに分類されます。これらのタイプが混在することもありますし、かゆみがないこともあります。治療は病態に応じて外用剤や内服薬を使用します。

ヒトパピローマウイルスの感染によって発症します。いぼのウイルスは傷などから皮膚に入り、皮膚の深層の細胞に感染して増殖します。放置するとさらに増えたり、大きくなったり人にうつしたりすることがあります。
いぼを見つけたときは、数が少ないうちにご相談ください。いぼの治療は液体窒素による冷凍凝固療法が主流ですが、塗り薬や漢方の併用や炭酸ガスレーザー治療などご本人に適しているものを選んで行います。当院では、痛みに弱い方向けに『モノクロロ酢酸』による治療も行っております。ご希望の方はお気軽にご相談ください。

皮膚の一部分に慢性的な圧迫などが加わり発症します。たこは皮膚の表面の角質が部分的に厚くなるもので、多くは痛みはありませんが、痛みや赤みを伴う場合は、細菌感染を起こしている可能性がありますので、早めに皮膚科を受診してください。うおのめは芯があります。皮膚直下に骨の突出部がある部位にできやすいです。歩く度に刺激され痛みが生じます。治療はメスなどで削る角質除去法があります。
また、足の裏によくできるのが足底疣贅（そくていゆうぜい）といういぼの一種です。うおのめと似ていますが、これはイボウイルス性のできもので知らずに削ってしまうと、かえって患部を広げてしまうことがありますので注意が必要です。鑑別をきちんとつけるためにも、皮膚科の受診をお勧めします。

多汗症は、全身に汗が過剰に増える全身性多汗症と、体の一部分（手、足の裏、腋窩）に汗が増える局所性多汗症があります。当院では、原発性局所多汗症（基礎疾患のために汗が多い状態になっているのではない、局所的な多汗症）の治療を行っています。
当院で行っている治療の中で保険適用のある外用薬は手掌多汗症が1種類（アポハイドローション®）、腋窩多汗症が2種類（ラピフォートワイプ®、エクロックゲル®）です。自費の外用薬としては、20%塩化アルミニウム液の取り扱いがあります。
また、重度の腋窩多汗症にはボトックス注射が保険適用です。